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映像・写真制作

CADデータの無い大型機械の製品紹介CGを、Claudeで作る方法|熱成形機の作例

機械の製品CGをClaudeで作る(部品の言葉・設計が先・作る順番)

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機械メーカーの新製品を紹介する、約2分のCG動画を作りました。題材は、プラスチックの容器をつくる大型の熱成形機(連続式 真空圧空成形機)です。CADデータの無いところから、AIと一緒に機械を一から設計し、Blenderで動かし、After Effectsで仕上げています。

※会社・製品は架空のサンプルです。工場の背景と、構造の参考にした写真はAIで生成しています。

AIで動画を作れる時代になりました。ただ、企業から受ける仕事として使えるかどうかは、別の話です。この作例は、機械メーカーから展示会・営業用の製品紹介動画を頼まれた、という実務の場面をそのまま再現して作りました。実際のお客様に置き換えても成り立つところまで詰めています。

この記事でわかること

  • AIで機械のCG動画を作るときに、いちばん大事なこと
  • AIに伝えた機械の部品と、その伝え方
  • 使ったツールと、作る順番(画像生成の使いどころも)
  • Claudeに渡した依頼(プロンプト)の全文

いちばん大事なのは、手作業の頃と同じこと

AIを使っても、仕上がりを決めるものは、手作業で動画を作っていた頃と変わりませんでした。

  1. お客様の業務を知る(その動画を、誰が、どこで使うのか)
  2. 動画の目的を知る(何を伝えれば、売る助けになるのか)
  3. 何より、製品を知る(どんな構造で、どう動くのか)

CADデータが無いことは、よくある

製品紹介のCGを頼まれても、CADデータが手に入らないことはよくあります。スマートフォンのアプリ画面やペットボトルのような製品なら、写真を見て形をまねれば作れます。しかし企業から求められるものは、それだけではありません。

大型の機械は、写真に中の構造が写りません。どの部品がどう組まれ、どう噛み合って動くのかを、こちらがAIに説明しなければ、正しく動くCGになりません。

AIに伝えた部品

今回、AIに伝えた部品です。部位ごとに「何が、何を、どう動かすか」まで言葉にしました。

部位部品役目
巻出し門型のフレーム、エアチャック、パウダーブレーキ、アイドラー、ダンサーローラーロールのシートを、一定の張りで送り出す
送りグリップチェーン、グリッパー、スプロケット、レールと摺動板シートの両端をつかんで、加熱炉から成形部へ運ぶ
加熱炉石英管ヒーター(上下32区画)、反射板、熱電対、冷却ファン区画ごとに温度を変えて、シートを温める
成形部の骨格ガイドポスト4本、ブロンズのガイドブッシュ、上下の可動プラテン上下の型を、まっすぐ正確に開け閉めする
成形部の動力サーボモーター、減速機、クランク、連結棒型を上下させる
成形部の空気圧空ボックス、Oリング、プラグ、電動シリンダー、真空ライン、電磁弁吸う力と押す力で、シートを型に沿わせる
型の温度温調ユニット、循環ポンプ、マニホールド、冷却配管型へ水を回し、温度を一定に保つ
打ち抜き・積み重ねトグル機構、昇降シリンダー、吸着パッド、ケーブルベア成形品を打ち抜き、上へ積み重ねる
空気の元エア配管、FRLユニット(ろ過・減圧・給油)、ボール弁工場の圧縮空気を、機械の各所へ配る
安全安全カバー、インターロック、近接センサー、非常停止扉が開いていると動かない、などの仕組み

この言葉を知らないと、そもそも指示ができません。AIは頼めば何でも調べてくれますが、何を調べさせればいいかにたどり着けなければ、正しい構造になりません。お客様と話し、業務と製品を理解して、正しい言葉でAIに渡す。ここは人の役割です。

映る所だけ作り込む

本物の機械は膨大な部品でできています。ただ、映像に映らない所まで細かく作る必要はありません。映る所がどう動くか、見て違和感が出ないかに力を使います。何を作り、何を省くかを決めることが、動画制作者の腕の見せ所だと感じています。

今回の3Dモデルは、2,162部品・全長約10mです。

誰なら、これを作れるか

見た目のかっこよさだけなら、AIで作れる人は増えています。ただ製品紹介では、機械を正しく描いて、正しく動かす必要があります。そこには製品の専門知識が欠かせません。

人見立て
製品紹介やCGを作ってきた動画制作会社AIの使い方を身につければ、できるようになる。製品を理解する手順と、映像の作り方をすでに持っている
製造業の知識が無いAI動画の作り手見た目は作れても、構造と動きを正しく指示するのは難しい
機械メーカーの設計者AIでの作り方を身につければ、近づける。ただし構成・カメラ・光・文字・音といった映像の知識も別に必要

私たちがここまで作れたのは、製造業のお客様の製品紹介・CG動画を作ってきた経験と、AIでの動画制作で蓄積してきたノウハウがあるからです。制作の判断や道具のコツはフォルダにまとめてあり、AIはそれを読んでから作業します。今回の機械のCGで分かったことも、次の案件のためにそこへ足しました。

大前提:会社と製品の資料を先に作り込む

プロンプトだけでは、同じものはできません。作る前に、架空の会社「幡山機工」の資料を1つのフォルダに作り込み、Claude Codeに読ませています。

資料中身
会社概要何をつくる会社か、沿革、拠点
業務の流れ受注から設計・組立・納品までの流れ
製品の仕様機種、寸法、成形エリア、能力、構造
用語集部品と工程の正しい呼び方
ブランド色、書体、ロゴ、言葉づかい
C40_幡山機工/
├── 01_会社概要.md
├── 03_事業と業務フロー.md
├── 04_拠点・設備.md
├── 07_ブランドとコミュニケーション.md
├── 09_用語集.md
├── 10_トーン&マナーシート.md
└── 素材/
    ├── ロゴ/
    ├── 画像/(構造の参考写真)
    ├── 工場背景/
    └── 3D/(機械の3Dモデル)

実際の案件なら、ここに入るのはお客様から預かるカタログ、仕様書、現場の写真、打ち合わせのメモです。

使ったツール

ツール使い道
Claude Code(Opus 5.5)調べもの、構成、設計、各アプリの操作
Blender機械の3Dモデルと動き
After Effects文字・図解・合成・仕上げ
Higgsfield構造の参考写真、ラストの工場の背景(画像生成)
ElevenLabsナレーション、BGM

BlenderとAfter Effectsは、MCP(AIがアプリを直接操作するためのつなぎ)経由で、Claudeが操作します。

画像生成の使いどころ(Higgsfield)

機械そのものは、画像生成や動画生成に作らせていません。生成に任せると、部品の数や噛み合いが崩れ、物理的にありえない動きになるためです。機械はすべてBlenderで組んでいます。

画像生成を使ったのは、次の2つです。

1. 構造の参考写真

写真では見えない内部の形を、言葉で細かく指定して「写真」にし、Blenderで組むときの手がかりにしました。Higgsfieldの GPT Image 2.5 を使っています。作ったのは、安全カバーを外した成形部の骨格、グリップチェーンの作り、圧空ボックスの内側、巻出し部などです。

頼み方の例です。

熱成形機の成形部を、安全カバーを外した状態で撮った写真を作ってください。
上の梁にサーボモーター。4本のクロムのガイドポストが台まで1本で通り、ブロンズのガイドブッシュで上下の可動プラテンを案内している。台はステンレスで、レベリングフットで床に立つ。
工場の照明、実写、人物・文字・ロゴなし。

ここでも、部品の名前を知っていることが効きます。「機械の中の写真」と頼んでも、それらしい絵が出るだけで、組める形にはなりません。

2. ラストの工場の背景

ラストで機械が工場に置かれる場面は、背景の工場だけを画像生成で作り、Blenderで描いた機械を合成しています。Higgsfieldの Nano Banana Pro を使いました。床の遠近を合わせるために、Blenderで同じカメラから床のグリッドを描いて参考画像として渡し、最後はCGのカメラを写真に合わせています。

人も機械も置かれていない、床の空いた明るい工場の写真を作ってください。
グレーの塗り床、白い壁と鉄骨の柱、天井の照明。奥に棚と別の機械。
参考画像の床のグリッドと同じ遠近で、カメラの高さは人の目線。
実写、人物・文字・ロゴなし。

作る順番

  1. 会社と製品の資料をまとめる(上の表)
  2. 構成とナレーションを決める:参考にしたい製品紹介動画の「型」を分析し、絵コンテとナレーション原稿を作る
  3. 製品の構造を調べ、部品と動きを言葉にする:材料の通り道と、1回の動き(温める → 成形 → 打ち抜き → 積み重ね)を順番に書く
  4. 構造の参考写真を作る:写真では見えない所を画像生成で作り、形の手がかりにする
  5. 設計を先に決める:3Dを作る前に、配置図(上・正面・横の3方向)、材料の通り道、1回の動きを図にして確認する
  6. Blenderで組んで動かす:寸法どおりに組み、カットごとにカメラを決めて連番で書き出す
  7. 音を作る:ナレーションとBGMを作り、秒数を確定する
  8. After Effectsで仕上げる:文字、図解、工場の背景との合成。音量を整えて書き出す

いきなり3Dを作らないことがポイントです。配置と動きを先に図で決めておくと、組んだ後の作り直しが減ります。

Claudeに渡した依頼(全文)

実際の制作は、何度もやり取りしながら進めています。このプロンプトだけで同じものが完全に再現できるわけではありません。進め方の参考にしてください。

【前提】会社のフォルダの資料(会社概要・製品の仕様・用語集・ブランド)を読んでから進めてください。

この会社の新製品(連続式の真空圧空成形機)を紹介する、約2分の製品紹介CG動画を作ってください。展示会と営業で使います。見る人は、容器メーカーの工場長と生産技術の担当者です。

【まず製品を理解する】
・実機の構造を調べ、部位ごとに部品と動きを一覧にする
 巻出し:エアチャック、パウダーブレーキ、ダンサーローラー
 送り:グリップチェーン、グリッパー、スプロケット
 加熱:石英管ヒーター(区画ごと)、熱電対
 成形部:ガイドポスト、ガイドブッシュ、可動プラテン、サーボモーター、減速機、クランク、連結棒
 空気・真空:圧空ボックス、プラグ、電動シリンダー、エアシリンダー、電磁弁、真空ライン
 型の温度:温調ユニット、循環ポンプ、マニホールド
 打ち抜き・積み重ね:トグル機構、昇降シリンダー、吸着パッド
・何が何を動かし、どこで噛み合うかを書く
・材料の通り道と、1回の動き(温める→成形→打ち抜き→積み重ね)を順番に書く
・構造が分かる参考写真を画像生成で作る(安全カバーを外した骨格など)

【構成】
・参考にする製品紹介動画を分析し、型(登場→これは何か→構造→何が新しいか→メリット→着地)を言葉にする
・絵コンテとナレーション原稿を作り、承認をもらう

【設計を先に】
・3Dを作る前に、配置図(上・正面・横)、材料の通り道、1回の動きを図にして見せる。承認してから作る

【CG】
・Blenderで寸法どおりに組む。映る所だけ作り込み、映らない所は省く
・機械は画像生成・動画生成に作らせない(構造が崩れるため)
・カットごとにカメラを決め、1920×1080・24fpsの連番で書き出す

【仕上げ】
・ナレーション(落ち着いた男性の声)とBGMを先に作り、秒数を決める
・After Effectsで文字・図解・工場の背景を合成する

【守ること】
・部品が浮いていないか、噛み合いと動きが物理的に正しいか、コマ単位で確かめる
・言葉は会社の用語集に合わせる(機械の種類の呼び方を間違えない)
・文字はまとめて出し、長く見せる
・音量は -14 LUFS

時間について

手作業のCG(一般的な目安)今回
費用安くても3桁万円。大手に頼めば数百万円になることも—
期間2〜3か月集中して約2週間

3Dを組む作業は、桁違いに速くなりました。一方で、Blenderの書き出し時間は今まで通りです。今回は10カットの描き直しに約24時間かかりました。修正のたびに書き出すので、ここは従来と同じく時間を見ておく必要があります。

自分の会社の製品で試すなら

  1. 製品のカタログ・仕様書・写真を1つのフォルダに集める
  2. 部品と工程の呼び方を、用語集として書き出す(ここがいちばん大事です)
  3. 動画を誰が、どこで見るのかを決める
  4. 上の依頼文の「新製品」「部品」「見る人」「尺」を、自社のものに書き換えて渡す
  5. 3Dの前に、配置図と動きの図を見て確かめる

まとめ

  • AIで、CGを組む作業は桁違いに速くなった
  • それでも、何をどう作るかを決めるのは人
  • お客様の業務と製品を理解し、正しい部品の言葉でAIに伝えられるかで、仕上がりが決まる
  • 製品の専門知識と、蓄積した制作のノウハウがあって、実務で使えるレベルになる
  • 機械は生成に任せずBlenderで組み、画像生成は参考写真と背景に使う
  • 映る所だけ作り込み、動きの違和感をなくす

作り方を約75秒にまとめた動画もあります。

合同会社SENTICは、動画制作・Web制作とAIの業務活用を支援しています。

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